荒涼とした砂れきの道をひたすら進む―富士山の御殿場ルートはそんなイメージ通りの場所でした(2023年8月3〜4日)。
8年前、宝永山経由で後半だけは通っています。しかし、このルートの特徴は前半。宝永の大噴火による火山堆積物に覆われた砂漠のような特異な地形にあります。
午前9時すぎに御殿場口新五合目を出発。次郎坊までは傾斜も緩く、何度も登った二ツ塚(双子山)を横目にサクサク進みました。
半蔵坊(H2595m)で気温18度。雲が多くなりガスも出てきました。東からやや強めの風が吹いてくるので止まるとかなり寒い。天気は明らかに下り坂でした。
傾斜が増すとズブズブと足が砂れきに沈みます。草もほとんど生えてません。延々と続く不毛の地を一歩一歩踏みしめながら歩きました。まるで雪山を登っているような気分です。
今回、高度順化の程度を調べるためにパルスオキシメーターで血中酸素飽和度(SpO2)を測りました。五合目では99でしたが、山小屋(砂走館=H3100m)に着いた時は、高度障害は何も出てなかったのに88まで下がってました。それでも、3時間後には92まで戻っていました。
午後4時頃に激しい雷雨になり、ずぶ濡れで小屋に着く人が続出していました。自分も当初、午後5時到着で計画していましたが、予約の電話をした時、「もうちょっと早いと助かる」と言われて変更しました。結果、午後2時半には小屋に入ることができ、難を逃れました。遮るものがない場所だから落雷は恐ろしい。夏山は早立ちが原則だと改めて思いました。
翌朝は小屋の前で日の出を見ました。山頂で日の出を見てから朝食を取ることも可能でしたが、ほとんどの人が朝食を取ってから出発していきました。この小屋は夕食も朝食もおかわり自由なのがうれしい。
頂上には1時間45分で着きました。出発時に94だったSpO2値は、99まで上がってました。ゆっくり休めて、ご飯もめいっぱい食べられたのがよかったのでしょう。南側には駿河湾や伊豆半島が見えました。
剣ケ峰に向かうと、力尽きて馬の背の途中で固まっている人が何人かいました。最高峰は相変わらず人気で写真撮影の順番待ちの長い列ができてました。火口縁を下山口へと歩いていくと東の空に怪しい雲が見えました。嫌な予感がするので急いで須走口に下山しました。
しかし、思ったようには進みませんでした。砂走りでつま先が地下足袋に当たって痛くなり、かばって歩いていたら太ももの筋肉がヘロヘロになりました。よれまくって五合目に着くと、ちょうどバスが発車するところだったので走りました。
上りは快適だったけど下りは散々でした。筋肉痛が3日間続きました。まだまだ技術が足りてないとわかりました。高い山に登るのは、よい訓練になります。