北アルプス

黒部上ノ廊下 バーゲンセール

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いつかは上ノ廊下に行きたい。

沢登りを始めた時から憧れと畏怖の念を抱いていました。
滝の登攀はない代わりに、ゴルジュ突破の泳力と渡渉力、微妙なへつり、長い行程を歩く体力が必要な沢です。
入ってしまったら、エスケープはまず不可能。
渡渉ロープワークの水トレを毎年するものの、予備日を入れると6日間の休みの調整を仲間と取り合い、かつ気象条件が合わないと決行できないため宿題となっていました。

今年は雪渓が極端に少なく、黒部ダムの貯水量も平年以下でした。
黒部ダムから放流される水流が「下ノ廊下」で、ダムの上流が「上ノ廊下」。

ダムの貯水量が少ないのは、上ノ廊下の水量が減っていることを意味し、遡行のチャンスです。
多少の降水があっても大局に影響はないと判断し、9月17日に入山しました。

メンバーはわたしと銀座山の会のヒロポン、R山の会の岡ちゃんです。

【コースタイム】
(初 日)8:00黒部ダム~12:00平ノ渡~14:00奥黒部ヒュッテ泊
(2日目)5:30奥黒部ヒュッテ~11:20金作谷の出合幕営
(3日目)5:30幕営地~11:40薬師沢小屋(ビール大休憩)~14:00薬師沢三俣幕営
(4日目)6:00幕営地~7:30太郎平小屋~10:50折立

↑ 平ノ渡場。例年は手前の切株まで水面があります。貯水量は少ない!

ダムができて橋がなくなったので船で対岸に渡るようになり、そのため渡船は関西電力が管理していて料金は無料。

電気代を払っている関西圏の人々に感謝!

初日は奥黒部ヒュッテに泊り、計画書を提出。風呂に入り、夕食にカレーを食べておとなしく就寝しました。

↑ 口元ノタル沢のゴルジュを抜けて早速竿を出すヒロポン

朝は雨が残っていましたが、午後からは晴れ予報のため迷わず出発。

本コース最大の難所である口元ノタル沢のゴルジュは右岸からヤツメウナギ泳法で簡単に通過できました。

水量が少なく、水圧も弱かったので鉄棒にぶら下がる感じで、拍子抜けするくらいアッサリと終わりました。

そして数えきれないほどした渡渉もロープを出すほどではなく、どんどん前に進みます。

↑ 学生時代は探検部、いまは湘南サーファーの岡ちゃん。ウエットスーツが似合います

↑ ビンガ(岸壁)の中で「考える人」になるヒロポン

↑ 昼前に到着した金作谷の出合

まだ余力があり先に進むこともできましたが、釣りをしてのんびり行こうということで、金作谷の出合で幕営。

しかし、この周辺では一匹も釣れず、口元ノタル沢の上で釣った岩魚で岡ちゃんがフィッシュカレーを作ってくれました。

↑ いまにも崩れそうな立石奇岩

三日目の上ノ黒ビンガのゴルジュも難なく通過して立石奇岩で休憩。

計画ではこの先の河原で幕営する予定でしたが、協議の結果、薬師沢小屋まで行ってしまいビールで乾杯し、かつビールを仕入れて薬師沢三俣まで行き、釣りをすることに変更しました。

順調すぎます。

↑ 薬師沢小屋で購入した缶ビール(わたしの分)

薬師沢小屋でわたしと岡ちゃんは2本、ヒロポンは3本の缶ビール(500ml、千円)を飲みました。

加えて晩酌用に岡ちゃん2本、わたしは3本、ヒロポンは4本を追加購入し、山小屋経営に貢献しました。

 

全行程を通してロープを使ったのはタープを張るためだけ。

こんなに簡単に遡行して上ノ廊下に行ったと自慢してよいのだろうか、三人で話し合いました。

が、「気象条件を含めて好条件、弱点を見つけて攻略するのがアルパイン。そういった意味ではわれわは優秀だった」という、自画自賛のノーテンキな結論になりました。

下山してから思い返すと、まるで上ノ廊下のバーゲンセールに行ってきた感覚になりました。

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