最近のビレイデバイス(確保器)は多機能になった半面、誤った使い方による事故もよく耳にします。特にブレーキアシスト機能を使ったフォローのビレイで、ロワーダウンさせようとしてロックを解除した時に起きやすい。
そこで以下のデバイスを検証してみました。
①ルベルソ4(ペツル)
②ATCガイド(新=ブラックダイヤモンド〈BD〉)
③ATCガイド(旧=BD)
④ピボット(DMM)
⑤ムーア2(トランゴ)
⑥ATCパイロット(BD)
取扱説明書によるとルベルソは、デバイスにカラビナの直掛けを推奨しています。しかし、10ミリのシングルロープではかなり力が必要で、うまく解除できませんでした。スリングを介した方が楽でした。
ATCガイドはカラビナでは全然歯が立たずスリング一択でした。
テンションがかかるとロープが食い込みやすくなる傾向がありました。細いロープは苦手のようです。
解除時は一気に流れることが多かったです。ATCガイドは扱いがシビアなデバイスでした。
ムンターヒッチなどでバックアップ取っておくことは欠かせません。取扱説明書も明記しています。ATCガイドは新型と旧型を使い比べてみました。新型は細かな改良がされており、解除がしやすくなっていました。同じ製品でも、新しいタイプの方が使い勝手はよくなっているようです。
スリングを介して体重をかける方法では、クライマーがビレイヤーより重いと解除できないことがありました。
ダブルロープの場合は、1本のロープにかかる荷重が半分になるため、細いロープでも解除はスムーズでした。
逆に言えばシングルロープは難しいということです。特に2人同時に引き上げた時のロワーダウンは、極めて難しいと感じました。
ピボットは、唯一カラビナだけで解除できました。ただし、使用するカラビナはデバイスとの相性があるので試しておく必要があります。
ATCパイロットはシングルロープ用のデバイスなので1人しか引き上げられませんが、ロックがしっかりかかり解除もしやすかったです。リードやトップロープのビレイでも使いやすく、好評でした。
ビレイデバイスのロック解除は、デバイスの型とロープの種類や径、スリングの長さやカラビナの形状などさまざまな要素によって影響を受けます。必ずしも取扱説明書の通りにできるとは限らないことがわかりました。
ぶっつけ本番は事故に直結します。一定の時間を割いて練習し、操作に習熟する必要があります。特に2人同時に引き上げる場合は、10ミリでもロープがかみ合って解除が難しくなることがありました。バックアップは絶対に必要だと思いました。