北アルプス

9/25-27@劔岳

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2022年9月25日~27日で、立山の劔岳と立山三山を歩いてきた。

秋が駆け足でやって来ている立山。

この数日後には雪が降り、劔岳の山頂には霜柱が立っていたそうだ。

 

富山駅から電鉄とケーブルカー、バスに乗り換えて室堂に向かう。

数日間、台風の影響でお天気が芳しくなかった立山には、快晴を待ってかのようにたくさんの人が訪れていた。

 

室堂で北村ガイドと合流。

後ろ姿を見た時、その太ももの大きさですぐに北村ガイドだと気が付き、お声がけさせていただいた。

北村ガイドは、映画「点の記 劔岳」や「春を背負って」で、ガイドや出演をされておられる立山の国際山岳ガイドだ。

 

立山が青空に浮かび上がり、みくりが池にその姿を映す。

こんな日に、立山に入れて良かった。

前日、東京から傘をさして出て来た身としては、ありがたい限りだ。

 

雷鳥沢のテント場に向けて、上りでは地獄の階段を下りていく。

 

地獄谷はもくもく。

 

かつては、地獄谷の道を歩けたそうだが、現在は危険なので通行止めだ。

そんなお話を北村ガイドからお聞きしながら進む。

 

ミヤマリンドウ。

秋の花だ。

 

剣御前小舎のある別山乗越から、剣御前山へ向かった。

劔御前山(2792m)から、劔岳(2999m)を見たかったのだ。

明日は、劔岳に登るんだと思うと、胸が熱くなった。

 

大げさなようだが、実はここまでとても大変だったんだ。

今年、劔岳に登ることを目標にしてスケジュールを組んできた。

お願いしていたガイドさんは、かつて何度かご一緒した方だ。

ガイドさんは、天候を見て4回日程変更をしてきた。

そして、ついにガイドさんの都合が合わなくなった。

そこで、会の友達のつてでガイドさん紹介していただいたが、残念ながら都合が合わなかった。

しかし、そのガイドさんが紹介してくださったガイドさんが、北村ガイドだったという流れだ。

今回で5回目のチャレンジとなった。

 

剣御前小舎から剱澤小屋へ向けて歩く。

ここを歩くのは初めて。

いよいよ、劔岳へ向けて進んでいるんだ。

 

逆さ劔が見える池に寄った。

ガイドさん達が昔掘った池だそうだ。

風がないので、綺麗に映っていた。

 

剱澤小屋に到着し、劔岳と乾杯!

 

この日、ここで盲目の女性を劔岳に案内してきたガイドさん一行と出会った。

女性は、聞いたことを画像化でき、凄い筋肉を持ち、足も人の3倍ぐらいあげるのだという。

ご本人の努力はいかほどのものかと思う。

そして、ワタクシ達が感じられないような風や香りを感じておられるのだろう。

 

翌朝、白馬方面から湧いて来たような雲が紅に染まっていた。

天気予報は、崩れる方向。

なんとか、小屋に戻るまではもってほしいと祈る。

 

朝6時、劔岳に向かってスタート。

暗いうちの登る人たちがひと段落してからという、北村ガイドの指示だ。

暗いうちのヘッドランプ…劔岳の山肌に点々と見た。

 

1番目の鎖場。

劔岳には、こうした名前が付いている鎖場が13か所ある。

有名な「カニのたてばい」は9番目の鎖場、「カニのよこばい」は10番目の鎖場だ。

 

前剱の陰で、劔岳は見えない。

北村ガイドが「やわやわ行きましょう。」と声をかけてくださる。

富山弁で、ゆっくりの意味だそうだ。

 

Y本さんが、ハーネスとスリングの確認をしてもらっている。

 

4番目の鎖場は、前剱だ。

 

途中、傾いた1本橋を渡って、7番目の鎖場の「平蔵の頭(ずこ)」にやってきた。

ここでは小柄なワタクシは最初のボルトに足が届かない。

そこで、このプレートの隙間につま先を掛けて登る。

もちろん、鎖を両手で持って靴底のフリクションで登る方法もある。

 

多分、赤マークしたルートを進んだんだと思う。

 

カニのたてばいへ取付く手前、ワタクシは足元を見て立ちすくんだ。

そして、左手の岩壁を見て身体が震えた。

前日、カニのよこばいに入る手前で滑落事故死した現場だ。

電波が殆ど入らない剱澤小屋。

この時まで、何も知らなかった。

震える身体を落ち着かせようとしながら登ると、残置されたザックやペットボトルがあった。

ワタクシは、「自分の足で歩いて帰る!」と声に出して先に進んだ。

 

夢中でカニのたてばいを登った。

下を見ると、追従者が豆粒のように見えた。

 

カニのたてばいを登りきると、復路のカニのよこばいの取付きのプレートがあった。

 

富士山が見えると、力がもらえる感じがする。

富山側には2年前に登った大きな白山の山容や、富山湾が見えた。

心配していたお天気は、どんどん良くなって快晴だ!

 

劔岳(2999m)山頂で、記念撮影!!

 

山頂には、早月尾根やバリエーションルートの源次郎尾根などから登ってきた人で、思ったより人がいた。

しかし、暗いうちから出発したら、ルート上で「待ち」があったかもしれないが、運よくスムーズに登ってくることが出来た。

 

バリエーションルートの源次郎尾根への下山口。

 

すごい解放感!

バンザーーーイ!!

 

しっかり、三角点にタッチ。

 

写真をたくさん撮った。

「劔岳 点の記」で、柴崎たちを導いてきた長次郎一行が登ってきたルートを確認した。

もちろん、錫杖の頭があったとされる場所も確認した。

 

山頂からは、五竜、鹿島槍、針ノ木、常念、乗鞍、御岳、笠ヶ岳など、たくさんの山が見えた。

 

休憩後、下山開始。

最初の鎖は、10番目の鎖場「カニのよこばい」だ(;^_^A

 

カニのよこばいは、最初の1歩目が見えない(◎_◎;)

下に下りながら左手の方に回る感じだ。

見えないのは怖いので、両手で鎖につかまって身体を岩から離して下を覗き込んで見た。

赤いマークが岩に付けられている。

おまけに上下にもある。

届く方に足を出して乗った。

あとは、左方向へそろそろと進む。

カニのよこばいだけ、セルフビレイのスリングカラビナを掛けた。

同じ鎖にふたりはつかまれないので、Y本さんが次の鎖に移るのを確認してからカラビナを掛けかえる。

 

カニのよこばいが終わると垂直ハシゴだ。

右手方向に見える鎖が邪魔なので、気を付けて跨いでハシゴに移った。

 

前日の滑落事故現場は過ぎているんだと思うと、ちょっとだけホッとした。

 

下山なのに、上りだ(´;ω;`)ウッ…

13番目の鎖場…名前が付いている最後の鎖場「前剱の門」だ。

疲れている身体に、なかなかキツイ登りだった。

 

行きには巻いた前剱山頂。

さっきまで背負っていた劔岳が小さく見える。

 

浮石に気を付けて、剱澤小屋へ向かおう。

 

この日は、この富山県警のヘリが長い間ゆっくり飛んでいた。

八ツ峰で事故があったようだ。

また、別山尾根では消防のヘリに吊り上げられる人がいた。

無事に、自分の足で帰ってきた。

 

その夜、3人の国際山岳ガイド(内2名は検定員)とそれぞれの客4人の7人が、後半の部の夕食後、歓談の時間を持った

なかなか聞くことが出来ないような山の話を聞けて楽しかった。

そして、K2にも挑んだ北村ガイドからは、何度目かのソロ無酸素で行った8000m級の山で遭難死かけた話など、生の話が聞けた。

酸素を吸うと楽だ。2000mくらい体感で高度が下がる感じ。8000mでも6000mくらいな感じ…まるで、レベチだ!

 

翌朝、北村ガイドにお礼を言い、剱澤小屋を後にした。

ヘリポートそばの剱澤警備派出所前を通った。

前日のヘリには、ここから隊員が乗り込んで救助を行ったのだ。

 

別山へ。

本当は、奥大日岳ピストンをして帰京する予定だったが、前夜夕食後同席したガイドさんから天候が心配なので立山三山にした方が良いとアドバイスを受けたのだ。

Y本さんは初めての立山三山だし、安全優先でそれも良いと思った。

 

一度寄ってみたかった内蔵助山荘。

裏側の展望が素晴らしかった。

白馬方面から鹿島槍、針ノ木と見渡せた。

 

真砂岳へ。

 

富士の折立にも登った。

後ろには、今回は諦めた奥大日岳が…

 

大日岳方面が雲海に浮かぶ。

手前には、みくりが池などがぽっかり浮かび上がっているようだ。

 

反対側には黒部湖。

針ノ木が見える。

 

大汝休憩所。

ここは、もう小屋閉めをしたと聞いていた。

映画「春を背負って」の舞台となった小屋だ。

 

大汝山にも登った。

 

雄山へ。

社務所とお社を通り過ぎて、三角点にタッチ。

 

お社は既にご祈祷が終了していた。

社務所は開いていた。

 

一の越に向かって下山。

昨年登った龍王岳がガスの中にぼんやり見える。

 

一度、室堂に戻ってから、コインロッカーに預けてあったお風呂セットをピックアップして室堂山荘へ。

入浴してさっぱりしてから帰路についた。

やがて、室堂で乗ったバスはガスの中に突っ込んでいった。

 

お天気に恵まれて、今年の目標の山に登ることが出来て大満足の山行だった。

劔岳から降りた直後はもう十分と思ったが、また登りたくなる不思議な魅力を持った山のようだ。

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